2017年12月15日(金)「METライブビューイング『魔笛』を観てあーだーこーだ語る会」を催しました。

12月15日(金)、第二回目のMETライブビューイングを観てあーだこーだと語る会をせいこさんと開きました。ご参加くださった方、どうもありがとうございました。

 

もともとはクラシック好きの私と様々な場作りをしているせいこさんが(せいこさんの主催していた)読書会で出会い、その後のSNSでお互いの動向を探り合ったのち(笑)、メッセージのやりとりを経てこの会を開くことになりました。

 

前回の「椿姫」を観てあーだーこーだ語る会のレポートはこちら(2017/4/11開催):

http://aktennotiz.jugem.jp/?eid=226

 

前回同様、

・オペラをMETライブビューイングを通じて気軽に観てもらい、面白さを皆で分かち合う

・事前に予習サイトを作成し、あらすじやアリアなどの予習をお願いする

・みんなで観た後に、ざっくばらんに感想を言い合う(主には鑑賞した「魔笛」について感想を言い合い、その他MET・オペラ・芸術全般に焦点を当てて話す)

という形にしました。

 

前回と主に変わったところは平日の朝〜昼にかけて開催したところ、会場を新宿にしたところ、Peatix経由で募集をかけたところでしょうか。演目自体も前回の「椿姫」とだいぶ違う内容の「魔笛」だったので、会を開催してみるまでどういった方向に話が行くのか読めませんでしたが、全体として芸術やエンタメとは何かと考えさせる良い場となったと思います^^そして参加してくださった皆さんも、それぞれ違った立場で芸術を愛する方々で、話していてとても楽しかったです!

 

私自身の感想としては、やはり「芸術」とは、少し分かり辛いものだけれど、観た人自身が完結させなければならない未完成の部分を孕んでるのだなぁ、と思いました。分かりやすい映画やドラマのように、すべてを説明しない、そして観る側も説明を求めない。オペラについては、同時にエンタメ要素が皆無でもダメで、常に歌手はレベルアップを求められ、新しくでも伝統を汚さない演出を必要とする。オペラという文化が今日も現在進行形で生きているのは、本当に芸術を愛する人の手で守られているからなんだなぁ、と思いました。

 

以下は雑多ですが、私が思ったこと、「語る会」で出た意見などです(思い出したら追加)。

 

【物語展開について】

・子どもの頃は分からなかった、「勧善懲悪」の「悪」の心理が大人になって分かるようになり、感情移入しやすくなった。

・場面の転換が多く沢山の主人公に焦点が当たるため、感情移入しづらい部分があったが、それぞれの歌手の歌唱力や演技力が素晴らしく、そうした部分を補って観ることが出来た。

・愛の語らいやその他のシーンに比べて、女王や大蛇など強大な力の消滅などがあっけなく描かれていた。

→これは、「精神性」こそが最も尊く、神に近づけるという考え方なのかも。

・王子は、試練に乗り越えると言っても具体的に何もしていない(物理的に)ように見えるのに、高尚な精神を持っているから素晴らしい、という描写になっている。

・説明不足な点を(夜の女王とザラストロの関係とか)いろいろと想像してみるのが楽しかった。

・「ボーイミーツガール」的な要素において、「何故タミーノとパミーナが恋に落ちるのか?」という説明が省かれていて、高尚な精神を手に入れるまでの過程に焦点を置いていた。

→最近の映画やドラマなどでは「なぜその人と恋に落ちるのか?その人でなければいけないのか」ということに焦点を置いていることが多い気がするので、物語としてはおとぎ話的な意味合いが強い気がする。

 

【オペラという芸術について】

・伏線を回収する映画やドラマなどに慣れていると、説明のつかない描写に疑問を持ってしまうけれど、伝統的な文化(オペラや日本の文楽や歌舞伎)ではそうした物語の中で説明されない「遊び」の部分が多く、観る人に想像させるようなところがある。

・オペラだと愛を語る場面に時間を割くけれど、他の伝統芸能である文楽や能・歌舞伎・バレエなど、それぞれが得意とする表現方法があり、それぞれ違った魅力がある。

・オペラの歌唱というと、理論や理屈なしの「自己表現」というイメージがあるが、実は音楽も演出も含めとても緻密に計算されている。そして理屈と実践を行ったり来たりして、二つが融合した表現を生み出している。これは音楽だけでなく美術や文学にもあてはまり、理屈だけでも実践だけでも辿り着けない世界がある。

・歌手のレベルは年々上がっていて、フィギアスケートや体操などのアスリートのよう。

 

【世界観】

・メイクや舞台美術などが様々な文化からの引用(バレエリュスなど)が感じられた。動物擬人やオリエンタリズムからの引用も面白い。

・エジプト風の舞台は当日の流行(?)

・勧善懲悪の世界観はどこかキリスト教っぽい

・「男を惑わす女」という男女の描かれ方が気になった。現代の歌手がそうしたト書きに直面すると、演じる葛藤などもあるのではないか(タミーナ役の歌手は、インタビューの中で彼女を「自立した女性」として捉えている)。

 

【キャラクターについて】

・衣装や演技などでキャラクターによってはコミカルに作られていて、メリハリが効いた演出となっていた。

・3人の子供が可愛かった!

・夜の女王の演技が本当に素晴らしかった。全体で12分しかでないのに、「地獄の復讐はこの胸に燃え」にすべてをもっていかれた感じ。

・パパゲーノはモーツァルト自身のキャラクターに似ている気がする。一番感情移入しやすい人物。

・対してタミーノは少し感情移入しづらかった。メイクも歌舞伎や京劇風などが混在している。

・3人の侍女の仮面の表情が絶妙で素敵だった。

・太陽と叡智の象徴としてザラストロが描かれているところはちょっと分かり辛かった。彼の存在は何だったのか?

 

【その他】

・「パパパ」の曲は昔パナップのCMで使われていて、懐かしかった。

https://m.youtube.com/watch?v=WJ-pv4uGyMo

魔笛―「夜の女王」の謎 (オペラのイコノロジー)

 

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