METライブビューイング「トスカ」をみました。

METのライブビューイング「トスカ」を観て来た(2/24)。

本当は観るつもりはなかったのですが(長いし予習する時間もなかったので)、友達に誘われたので行くことになった。

 

内容は予習していかなかったので、あらすじも分からなかったし、「これが一般的にはどんな風に演奏されるものなのか」という先入観がなかったので、逆に良かったかもしれない。

今までそう多くはないけれど、オペラというものに触れてみて分かったことは、オペラというのは基本、観る側にも忍耐が必要なものなのだ、ということだ。ひたすら感情を引き伸ばして歌う音楽と、100年以上前と変わらない脚本とサウンドを使って作られる舞台は、目まぐるしい展開やエンタメに慣れきった現代人(自分含む)には基本しんどいものだ、と考えて間違いない。けれど、そのしんどさを魅力に変えているのが、世界レベルの演出と、音楽を作る人たちなのだと思う。

いつも思うけれど、私自身は、オペラの中の登場人物に魅せられる。衣装や舞台がどんなに素晴らしくても、歌手が観る人を惹きつけることが出来なければ、2時間半ないしは3時間はとても長く感じられるだろう。逆に舞台や演出はいつも歌手の魅力や音楽・世界観を際立たせるものでなくてはならない。オペラ歌手というと、もっと感覚的で、持ち前の声の良さだけで生きているようなイメージが一部あるけれど、世界の最先端で活躍する人達は、(もちろん才能があり、既に多くの中から選ばれた人達ではあるけれど)常にトレーニングを積み、たくさんのレパートリーを習得し、常に観客を惹きつけるようなパフォーマンスを要求されている。しかも、長年愛されているオペラという「古典」の領域で。そう考えると、新演出の舞台が成功する、ということはある意味、何かの奇跡なのかな、とも思う。

 

今回はヨンチェヴァの(独自の解釈という)高潔なトスカ、グリゴーロが表現した複雑なカヴァラドッシが本当に良かったと思う。スカルピア役も人柄に奥行きがあって、「ああ、こういう人いそうだよね。。」みたいな気分になった。舞台演出とか美術については、私はあまり目がいかなかったのですが、思い返してみるとそれぞれの幕で作られていた舞台の小道具が素晴らしく、本当に映画のような舞台だったと思う。

 

ぜんぜん話は違うけれど、去年くらいから友達と黒澤映画を1本ずつ観ることにしている(2,3ヶ月に1回くらい)。

彼の映画は長いし、日本映画なのに早口すぎて何を言っているか分からないことが多いのに、不思議と2-3時間終始惹きつけられる。それは、登場人物に魅力とリアリティがあるからだ、と思う。そういうところは少しオペラと似ているな。

これだけは死ぬまでに観たい〜オペラ編〜

今までに観たオペラを整理してみました。

 

題名 作曲者

観た形式

魔笛 モーツァルト MET LV(英語版およびドイツ語版)
ドン・ジョヴァンニ モーツァルト 新国立劇場
カルメン ビゼー 藤原歌劇団

イル・トロヴァトーレ

ヴェルディ MET LV
椿姫 ヴェルディ 新国立劇場、MET LV
ドン・カルロス ヴェルディ 演奏会形式(東京芸術劇場 コンサートオペラ)
トゥーランドット プッチーニ MET LV
トスカ プッチーニ MET LV
マノン・レスコー プッチーニ MET LV
こうもり ヨハン・シュトラウス2世 新国立劇場
サロメ リヒャルト・シュトラウス 演奏会形式(N響)
マハゴニー市の興亡 クルト・ヴァイル 絨毯座

 

わたし的に死ぬまでに観ておきたいオペラ。

・フィガロの結婚

・ルサルカ

・売られた花嫁

・運命の力

・エフゲニー・オネーギン
・エレクトラ

・蝶々夫人

・ラ・ボエーム

・後宮からの誘拐
・コジ・ファン・トゥッテ
・道化師
・ナクソス島のアリアドネ
・ばらの騎士
・ロメオとジュリエット

 

2017年12月15日(金)「METライブビューイング『魔笛』を観てあーだーこーだ語る会」を催しました。

12月15日(金)、第二回目のMETライブビューイングを観てあーだこーだと語る会をせいこさんと開きました。ご参加くださった方、どうもありがとうございました。

 

もともとはクラシック好きの私と様々な場作りをしているせいこさんが(せいこさんの主催していた)読書会で出会い、その後のSNSでお互いの動向を探り合ったのち(笑)、メッセージのやりとりを経てこの会を開くことになりました。

 

前回の「椿姫」を観てあーだーこーだ語る会のレポートはこちら(2017/4/11開催):

http://aktennotiz.jugem.jp/?eid=226

 

前回同様、

・オペラをMETライブビューイングを通じて気軽に観てもらい、面白さを皆で分かち合う

・事前に予習サイトを作成し、あらすじやアリアなどの予習をお願いする

・みんなで観た後に、ざっくばらんに感想を言い合う(主には鑑賞した「魔笛」について感想を言い合い、その他MET・オペラ・芸術全般に焦点を当てて話す)

という形にしました。

 

前回と主に変わったところは平日の朝〜昼にかけて開催したところ、会場を新宿にしたところ、Peatix経由で募集をかけたところでしょうか。演目自体も前回の「椿姫」とだいぶ違う内容の「魔笛」だったので、会を開催してみるまでどういった方向に話が行くのか読めませんでしたが、全体として芸術やエンタメとは何かと考えさせる良い場となったと思います^^そして参加してくださった皆さんも、それぞれ違った立場で芸術を愛する方々で、話していてとても楽しかったです!

 

私自身の感想としては、やはり「芸術」とは、少し分かり辛いものだけれど、観た人自身が完結させなければならない未完成の部分を孕んでるのだなぁ、と思いました。分かりやすい映画やドラマのように、すべてを説明しない、そして観る側も説明を求めない。オペラについては、同時にエンタメ要素が皆無でもダメで、常に歌手はレベルアップを求められ、新しくでも伝統を汚さない演出を必要とする。オペラという文化が今日も現在進行形で生きているのは、本当に芸術を愛する人の手で守られているからなんだなぁ、と思いました。

 

以下は雑多ですが、私が思ったこと、「語る会」で出た意見などです(思い出したら追加)。

 

【物語展開について】

・子どもの頃は分からなかった、「勧善懲悪」の「悪」の心理が大人になって分かるようになり、感情移入しやすくなった。

・場面の転換が多く沢山の主人公に焦点が当たるため、感情移入しづらい部分があったが、それぞれの歌手の歌唱力や演技力が素晴らしく、そうした部分を補って観ることが出来た。

・愛の語らいやその他のシーンに比べて、女王や大蛇など強大な力の消滅などがあっけなく描かれていた。

→これは、「精神性」こそが最も尊く、神に近づけるという考え方なのかも。

・王子は、試練に乗り越えると言っても具体的に何もしていない(物理的に)ように見えるのに、高尚な精神を持っているから素晴らしい、という描写になっている。

・説明不足な点を(夜の女王とザラストロの関係とか)いろいろと想像してみるのが楽しかった。

・「ボーイミーツガール」的な要素において、「何故タミーノとパミーナが恋に落ちるのか?」という説明が省かれていて、高尚な精神を手に入れるまでの過程に焦点を置いていた。

→最近の映画やドラマなどでは「なぜその人と恋に落ちるのか?その人でなければいけないのか」ということに焦点を置いていることが多い気がするので、物語としてはおとぎ話的な意味合いが強い気がする。

 

【オペラという芸術について】

・伏線を回収する映画やドラマなどに慣れていると、説明のつかない描写に疑問を持ってしまうけれど、伝統的な文化(オペラや日本の文楽や歌舞伎)ではそうした物語の中で説明されない「遊び」の部分が多く、観る人に想像させるようなところがある。

・オペラだと愛を語る場面に時間を割くけれど、他の伝統芸能である文楽や能・歌舞伎・バレエなど、それぞれが得意とする表現方法があり、それぞれ違った魅力がある。

・オペラの歌唱というと、理論や理屈なしの「自己表現」というイメージがあるが、実は音楽も演出も含めとても緻密に計算されている。そして理屈と実践を行ったり来たりして、二つが融合した表現を生み出している。これは音楽だけでなく美術や文学にもあてはまり、理屈だけでも実践だけでも辿り着けない世界がある。

・歌手のレベルは年々上がっていて、フィギアスケートや体操などのアスリートのよう。

 

【世界観】

・メイクや舞台美術などが様々な文化からの引用(バレエリュスなど)が感じられた。動物擬人やオリエンタリズムからの引用も面白い。

・エジプト風の舞台は当日の流行(?)

・勧善懲悪の世界観はどこかキリスト教っぽい

・「男を惑わす女」という男女の描かれ方が気になった。現代の歌手がそうしたト書きに直面すると、演じる葛藤などもあるのではないか(タミーナ役の歌手は、インタビューの中で彼女を「自立した女性」として捉えている)。

 

【キャラクターについて】

・衣装や演技などでキャラクターによってはコミカルに作られていて、メリハリが効いた演出となっていた。

・3人の子供が可愛かった!

・夜の女王の演技が本当に素晴らしかった。全体で12分しかでないのに、「地獄の復讐はこの胸に燃え」にすべてをもっていかれた感じ。

・パパゲーノはモーツァルト自身のキャラクターに似ている気がする。一番感情移入しやすい人物。

・対してタミーノは少し感情移入しづらかった。メイクも歌舞伎や京劇風などが混在している。

・3人の侍女の仮面の表情が絶妙で素敵だった。

・太陽と叡智の象徴としてザラストロが描かれているところはちょっと分かり辛かった。彼の存在は何だったのか?

 

【その他】

・「パパパ」の曲は昔パナップのCMで使われていて、懐かしかった。

https://m.youtube.com/watch?v=WJ-pv4uGyMo

魔笛―「夜の女王」の謎 (オペラのイコノロジー)

 

2017年4月9日(日)「椿姫を観てあーだーこーだと語る会」を催しました。

クローズド企画だったのですが、ひょんなことからお知り合いになったせいこさんと「オペラを観ていろいろ感想を言い合う会」というのを開催しました。演目はMETのライブビューイング「椿姫」。演出は有名なヴィリー・デッカーのもの、タイトルロールのソニア・ヨンチェヴァもアルフレード(当社比イケメン)とジェルモン役(10年前よりもお父さん度が増してるし余裕出てきてる)も全員素晴らしかった。

 

最初に決めた開催の趣旨としては

 

・(ほぼ)初めてオペラを観る人のために、リーズナブルにLV(ライブビューイング)でまず観てみる

・前知識全くなしで観るのではなく、多少の予習(あらすじの確認、有名な曲の事前視聴)などを行う

・観た後に皆でざっくばらんに好きなこと語り合う。(これがポイント)

 

みたいな感じで進めていきました。私自身も鑑賞しながら「あー、ここのアリアも予習に入れた方が良かったかなー」とか思いつつ、それなりに予習として提示した動画は自分なりに絞り込めたかなと思いました(独断と偏見だったし、Youtubeの動画あるなしの関係もありましたが)。全部入れるときりがないものね。

あらすじとしては、結構つっこみどころのある話(オペラってそういうの多いけど)だけど、シンプルな演出に乗っかってとにかくメインロールの演技が良かったこと、音楽が素晴らしいことの相乗効果で2幕の中盤(ヴィオレッタが折れてアルフレード別れることを決意するシーン)あたりから私ぼろぼろ涙を流していました。ヨンチェヴァすげえ。音楽であんなに泣いたのは2014年のウィーンフィル鑑賞以来です。

 

あーだこーだと6人で楽しく語った経験は、なかなか言葉だけで上手くまとめることが出来ませんが、お話した内容で印象に残った点を書き出してみます。

 

・シンプルな演出が効果的でキャラクターに注意が向かった。

・この演出は日本的な伝統芸能(文楽)とかの影響を受けてそう。

・群集の中に女性も混じっているが、女性を感じさせないスーツを来ていた。フローラも男性として出ている(?)。他の女性を排除してヴィオレッタを紅一点として扱っていることに怖さを感じた。

・衣装がスーツでの演出の中で、ジプシーや闘牛士のシーンの挿入が唐突に感じられた。

・賭けで買ったお金をわざわざスカートの中につっこむ演出があざとい。

・ヘタレなアルフレード役(台詞とか出番もヴィオレッタに比べて限られてるから)が上手く表現されていた。ただの短絡的なぼんぼんというより、もう少し厚みのあるキャラクターになっていた。

・お父さんも酷い役なのに、どこか憎めないキャラクターに演じられていた。

・アルフレードはヴィオレッタの「人に見せない弱い部分」を好きになったというよりも、いろんな部分をまるごと好きになったのでは。

・「乾杯の歌」で歌ったヴィオレッタの「私は自由に生きるの」というコンセプトはアルフレードと恋に落ちてどこかへ行ってしまったように思えたが、最後の(死ぬ間際に)「私はまた新しく生きるの」というシーンで自立が感じられた。

・一番最初に前奏曲に乗せてヴィオレッタが医師役に倒れこむシーンが挟まっていることで、乾杯のシーンの見方が変わってくる。他の演出よりも、ヴィオレッタの内面や時間へのあせりに焦点を当てている。

 

・オペラとミュージカルの違いって何?

 

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2016年3月21日(祝) アンナ・ネトレプコ スペシャル・コンサート in JAPAN 2016

日時: 2016年3月18日 (金) 19:00 開演
会場: サントリーホール
出演
ソプラノ: アンナ・ネトレプコ
テノール: ユシフ・エイヴァゾフ
指揮: ヤデル・ビニャミーニ
オーケストラ: 東京フィルハーモニー交響楽団


プログラム
ヴェルディ: オペラ《運命の力》序曲

チレア: オペラ《アドリアーナ・ルクヴルール》から
       私は神の卑しいしもべです (ネトレプコ)

チレア: オペラ《アルルの女》から 
       ありふれた話(フェデリコの嘆き) (エイヴァゾフ)

ヴェルディ: オペラ《イル・トロヴァトーレ》から
       穏やかな夜・・・この恋を語るすべもなく (ネトレプコ)
       ああ、あなたこそ私の恋人・・・見よ、恐ろしい炎を (エイヴァゾフ)

ヴェルディ: オペラ《アッティラ》序曲

ヴェルディ: オペラ《オテロ》から
       二重唱「すでに夜もふけた」 (ネトレプコ、エイヴァゾフ)

プッチーニ: オペラ《蝶々夫人》から
       ある晴れた日に (ネトレプコ)

プッチーニ: オペラ《トスカ》から 星は光りぬ (エイヴァゾフ)

ジョルダーノ: オペラ《アンドレア・シェニエ》から
       亡くなった母を (ネトレプコ)
       5月のある晴れた日のように (エイヴァゾフ)

プッチーニ: オペラ《マノン・レスコー》間奏曲

ジョルダーノ: オペラ《アンドレア・シェニエ》から
       貴方のそばでは、僕の悩める魂も (ネトレプコ、エイヴァゾフ)

2016年11月2日(月) METライブビューイング「イル・トロヴァトーレ」@東劇

METライブビューイング

「イル・トロヴァトーレ」@東劇

 

指揮:マルコ・アルミリアート 演出:デイヴィッド・マクヴィカー

出演:アンナ・ネトレプコ、ディミトリ・ホヴォロストフスキー、ヨンフン・リー、ドローラ・ザジック、ステファン・コツァン

上映時間:3時間6分(休憩1回)[ MET上演日 2015年10月3日 ]
言語:イタリア語

5月19日(火) [新制作]オペラ「椿姫」@新国立劇場 オペラパレス

指揮:イヴ・アベル
演出・衣裳:ヴァンサン・ブサール
美術:ヴァンサン・ルメール
照明:グイド・レヴィ
ムーブメントディレクター:ヘルゲ・レトーニャ
舞台監督:村田健輔

ヴィオレッタ:ベルナルダ・ボブロ
アルフレード:アントニオ・ポーリ
ジェルモン:アルフレード・ダザ
フローラ:山下牧子
ガストン子爵:小原啓楼
ドゥフォール男爵:須藤慎吾
ドビニー侯爵:北川辰彦
医師グランヴィル:鹿野由之
アンニーナ:与田朝子
合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団